小学生とIT

親が教えられない宿題。プログラミング課題がもたらす家庭内コミュニケーションの断絶

親が教えられない宿題。プログラミング課題がもたらす家庭内コミュニケーションの断絶

「また始まった…Scratchのバグ取り。」

お子さんが持ち帰ったプログラミングの宿題を見て、そう心の中でつぶやいた経験はありませんか?算数や漢字の宿題なら、親として「こうやったらいいよ」と教えられますが、プログラミングとなると話は別です。自分自身がIT教育を本格的に受けてこなかった世代にとって、子どもたちのプログラミング課題は、まるで未知の領域ではないでしょうか。

文部科学省がプログラミング必修化を掲げ、GIGAスクール構想で一人一台端末が導入されても、私たち保護者の不安は募るばかりかもしれません。我が子がデジタル社会で落ちこぼれるのではないかという漠然とした恐怖は、常に心のどこかにあるのではないでしょうか。さらに、高額な民間プログラミング教室に通わせる経済的余裕の有無が、そのまま教育格差(デジタル・デバイド)に直結することへの罪悪感や不満も感じているかもしれませんね。

小学校の先生方も、タイピング指導やログイン対応、パスワード忘れの対応など、本来の教育以外のITサポート業務に追われ、疲弊しているのが現状だと耳にします。子どもたちはYouTubeやゲームアプリなどの「消費型デジタル」には強いものの、キーボード入力やファイル保存といった「生産型デジタル」の基礎スキルが欠落しているケースも少なくありません。

私自身、35年にわたりシステムの開発に携わり、200名以上のエンジニアを育成してきた経験があります。また、京都市教育委員会と連携して小学生へのプログラミング講座も行ってきました。この経験から、皆さんが直面している「親が教えられない宿題」という問題が、単なる学力だけの問題ではなく、家庭内のコミュニケーションや親子の信頼関係にも影響を与えかねない、より深い課題だと感じています。

小学生のプログラミング教育、なぜ家庭学習で戸惑うのでしょうか?

プログラミング教育が小学校で必修化されて数年が経ちました。文部科学省は「プログラミング的思考」を育むことを目的とし、子どもたちが情報社会を生き抜く力を養うことを期待しています。しかし、その理念と現実のギャップに、多くの保護者や教育現場が戸惑っているのではないでしょうか。

その背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、多くの保護者世代が学校でプログラミングを学んでいないという事実があります。私自身も現役でエンジニアとして働いていますが、子どもの頃に学校でプログラミングを教わる機会はありませんでした。そのため、子どもが持ち帰ったScratchの課題を見ても、何から手をつけて良いのか、どこでつまずいているのかさえ理解できない、という状況が生まれてしまいます。これは、親の威厳が保てないだけでなく、家庭での学習サポートが完全にストップしてしまうという新しい教育カリキュラムの弊害とも言えるかもしれません。

また、学校現場の状況も課題の一つです。文部科学省の GIGAスクール構想によって、一人一台の端末が導入されたことは大きな前進ですが、情報教育の専門知識を持つ教員が不足している現状があります。総務省の「情報通信白書」などを見ても、IT人材の不足は深刻な問題として指摘されており、それは教育現場も例外ではありません。先生方も手探りの状態で指導にあたっているため、家庭学習のサポート体制まで手が回らないのが実情ではないでしょうか。

子どもたちの側にも課題があります。スマートフォンやタブレットに慣れ親しんだ「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代ですが、彼らが触れているのは主にYouTubeの視聴やゲームアプリの利用といった「消費型デジタル」です。与えられたコンテンツを享受することには長けていても、自ら情報を生み出したり、問題を解決したりする「生産型デジタル」のスキルは、意識的に育てなければ身につかないものだと感じています。

親がプログラミングを教えられない。それでも親子で問題を解決していくには?

親がプログラミングの専門知識を持っていなくても、子どもがプログラミングの宿題で困ったときに、親子で協力して問題を解決していく道は十分にあります。大切なのは、「答えを教えること」ではなく「一緒に考える姿勢」を持つことではないでしょうか。

まず、子どもが何に困っているのかを具体的に聞き出すことから始めてみてください。例えば、「ここが動かないんだ」と言われたら、「どうして動かないと思う?」「どこを変えたら動くかな?」といった問いかけをすることで、子ども自身に問題の原因を考えさせるきっかけを作ることができます。これは、プログラミング的思考の根幹をなす「論理的な思考力」を育む上で非常に重要なプロセスです。

次に、インターネットを「調べるツール」として活用してみるのも良いでしょう。Scratchであれば、多くのチュートリアル動画や解説サイトが存在します。「Scratch (動かないブロック名) 解決策」といったキーワードで一緒に検索し、解決の糸口を探すのです。この過程で、子どもは自ら情報を探し、活用する「生産型デジタル」のスキルを自然と身につけていくことができるかもしれません。親が「一緒に探そう」と寄り添うことで、子どもは「一人で抱え込まなくていいんだ」という安心感を得られるのではないでしょうか。

また、学校の先生との連携も忘れてはならないポイントです。先生方も子どもたちの学習状況を把握したいと思っているはずです。子どもが特に苦手としている部分や、家庭でサポートしきれないと感じる点があれば、積極的に学校に相談してみてはいかがでしょうか。先生方も、家庭でのサポートの状況を理解することで、より適切な指導方法を検討してくれるかもしれません。公的な資料でも、地域と学校、家庭の連携の重要性は常に指摘されているところです。

家庭で起こりうるプログラミング教育の「危険性」と「トラブル」

プログラミング教育が家庭に入り込むことで、残念ながらいくつかの危険性やトラブルも発生しやすくなるかもしれません。これらを事前に理解しておくことで、未然に防ぐことができることもあるのではないでしょうか。

最も懸念されるのは、親子関係の悪化です。親がプログラミングの内容を理解できないことで、子どもは「親は何も知らない」と感じ、親への信頼感が揺らぐ可能性があります。また、親が焦りから「なんでこんな簡単なことができないの?」と叱責してしまえば、子どもは学習意欲を失い、プログラミング自体を嫌いになってしまうかもしれません。本来、子どもの成長を促すはずの教育が、家庭内コミュニケーションの断絶を招いてしまうのは避けたいところです。

次に、「デジタル・デバイド」の拡大です。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」でも、地域間や所得層間のITリテラシー格差が指摘されています。プログラミング教育も同様で、高額な民間教室に通わせられる家庭とそうでない家庭とで、子どもの学習機会に大きな差が生まれてしまう可能性があります。これは、将来のキャリア形成にも影響を及ぼしかねない深刻な問題だと感じています。

さらに、子どもがプログラミングを単なる「消費型デジタル」の延長で捉えてしまうリスクもあります。ゲーム感覚でプログラミングツールを触るだけになり、肝心の問題解決能力や論理的思考力が育たないまま終わってしまうケースも考えられます。例えば、Scratchで既存のゲームを模倣するだけで、自分で新しいアイデアを生み出したり、エラーの原因を深く考えたりする経験が不足してしまう、といった状況です想像できます。

このようなトラブルを避けるためには、親が「完璧に教えよう」と気負わず、子どもが「なぜ」を考え、試行錯誤する過程を温かく見守ることが重要ではないでしょうか。また、時には外部の力を借りることも視野に入れるべきです。家庭だけで全てを解決しようとすると、かえってストレスが溜まってしまうかもしれません。

Scratchでのバグ探し!親ができる「伴走」のコツ

Scratchのようなビジュアルプログラミングツールは、直感的で分かりやすい一方で、バグ(プログラムの誤り)が発生すると、どこに問題があるのか見つけにくいと感じるかもしれません。親がプログラミングの専門家でなくても、子どもがバグ探しをする際に「伴走者」としてできることはたくさんあります。

まず大切なのは、子どもが「何を作ろうとしているのか」を理解することです。子どもが思い描く完成形を知ることで、プログラムのどこが意図と異なっているのか、一緒に見当をつけやすくなります。「このキャラクターを動かしたいんだね?」「どんな風に動かしたい?」など、子どもの言葉で目標を確認してみてください。

次に、プログラムを「分解して考える」ことを促すのが有効です。Scratchのプログラムは、複数のブロック(命令)が組み合わさってできています。もし動かない部分があれば、「このブロックは正しく動いているかな?」「この次のブロックは?」と、一つ一つのブロックの動きを一緒に確認していくのです。例えば、キャラクターが右に動かないなら、「右に動かす」ブロックの前にある「〇秒待つ」ブロックが長すぎないか、そもそも「右に動かす」ブロックが置かれているか、といった具合です。

「エラーメッセージ」に注目するのも一つの手です。Scratchでは明確なエラーメッセージが出ないことも多いですが、プログラムが予期せぬ動きをした時には、何らかのヒントが隠されているかもしれません。子どもが「変な動きをする」と言ったら、「どこが変?」「いつから変になった?」と具体的に質問し、その動きを再現してみるのも良いでしょう。公的な資料やプログラミング教育に関するブログでも、この「分解して考える」「試行錯誤する」プロセスが、プログラミング的思考を育む上で最も重要だと強調されています。

そして、成功体験を積ませることが何よりも重要です。小さなバグでも解決できたら、「すごいね!よく見つけたね!」と心から褒めてあげてください。この積み重ねが、子どもの自信と学習意欲につながっていくのではないでしょうか。

プログラミング的思考を育む!論理的な問題解決能力とは?

「プログラミング的思考」という言葉をよく耳にするかと思いますが、具体的にどのような能力を指すのでしょうか。これは単にコードを書くスキルではなく、文部科学省が定義するように「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応する記号を、どのように組み合わせたらよいか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのかを論理的に考える力」を指します。

この思考力は、プログラミングの世界だけでなく、日常生活のあらゆる場面で役立つものです。例えば、朝起きてから学校に行くまでのルーティンを考えてみましょう。「起きる」→「顔を洗う」→「着替える」→「朝食を食べる」→「歯を磨く」→「家を出る」といった一連の動作には、順序があります。もし「着替える」と「顔を洗う」の順番を間違えれば、服が濡れてしまうかもしれません。これはまさに、プログラムの実行順序を考えることと同じです。

また、料理のレシピもプログラミング的思考の具体例と言えるでしょう。「材料を切る」→「炒める」→「味付けをする」といった手順を正確に踏まなければ、美味しい料理は完成しません。さらに、「味が薄かった」という問題が発生した際には、「どの調味料が足りないのか」「いつ加えれば良いのか」を論理的に考え、改善していくプロセスが必要です。これもプログラムのデバッグ(バグ修正)と非常に似ています。

つまり、プログラミング的思考とは、目の前の問題を細かく分解し、一つ一つの要素を論理的に整理し、最適な手順を見つけ出し、そしてその手順を改善していく能力なのです。小学生のうちからこの思考力を育むことは、将来どのような分野に進むにしても、複雑な課題に直面した際に自力で解決策を見つけ出すための強力な武器になるのではないでしょうか。IT技術が進化する現代において、この能力の重要性はますます高まっていると感じています。

「消費型デジタル」から「生産型デジタル」へ。子どものITリテラシーを高めるには?

現代の子どもたちは、生まれた時からデジタル機器に囲まれて育っています。YouTubeで動画を視聴したり、ゲームアプリで遊んだりすることは日常茶飯事でしょう。しかし、これらの活動は「消費型デジタル」と呼ばれるもので、与えられたコンテンツを受け取る側としてのスキルが中心です。これに対して、情報社会で本当に必要とされるのは、自ら情報を生み出し、活用する「生産型デジタル」のスキルではないでしょうか。

生産型デジタルスキルとは、具体的にはキーボード入力、ファイルの保存や管理、インターネットでの情報収集と整理、簡単な文書作成やプレゼンテーション資料の作成などを指します。GIGAスクール構想によって一人一台端末が導入されたことで、これらのスキルを学校で学ぶ機会は増えましたが、家庭での意識的な取り組みも重要だと考えています。

では、どうすれば子どもたちの生産型デジタルスキルを育めるのでしょうか。まず、「タイピング練習」は非常に効果的です。キーボード入力は、プログラミングだけでなく、レポート作成や情報収集など、あらゆる学習活動の基盤となります。ゲーム感覚で楽しみながらタイピングを学べる無料サイトもたくさんありますので、親子で挑戦してみるのも良いかもしれません。

次に、「簡単な資料作成」を体験させてみるのはいかがでしょうか。例えば、家族旅行の計画をパワーポイントやGoogleスライドでまとめてもらったり、夏休みの自由研究の発表資料を作成してもらったりするのです。この過程で、情報の整理方法、図や写真の挿入方法、プレゼンテーションの構成などを自然と学ぶことができます。子どもが作った資料に対して、「ここはもっとこうしたら伝わりやすいかもね」といった具体的なフィードバックを与えることで、さらに深い学びにつながるのではないでしょうか。

また、「情報収集の目的意識」を持たせることも大切です。YouTubeで好きな動画を見るだけでなく、「〇〇について調べてみて」といった具体的なテーマを与え、信頼できる情報源を見つける練習をさせるのも良いでしょう。総務省の「情報通信白書」でも、情報の真偽を見極めるリテラシーの重要性が強調されています。消費するだけでなく、自ら作り出し、活用する側へと意識を転換していくことが、これからの子どもたちには不可欠だと感じています。

私の実体験から考える、親子で乗り越えるプログラミングの壁

私自身、35年にわたるシステム開発の現場で、そして200名以上のエンジニアを育成する中で、多くの「壁」にぶつかり、それを乗り越えてきました。特に、未経験の技術者たちがプログラミングの難しさに直面し、挫折しそうになる姿を何度も見てきました。その経験から言えるのは、プログラミング学習において最も大切なのは「自ら考え、試行錯誤し、解決策を見つける力」だということです。これは、小学生のプログラミング教育にも共通する本質だと感じています。

私が技術者育成事業を始めた20年前、京都市教育委員会と連携して小学生へのプログラミング講座を行った際にも、同じような課題に直面しました。子どもたちは最初は目を輝かせてロボットを動かしますが、少し複雑な動きをさせようとすると、すぐに「分からない」「できない」と声を上げます。親御さんたちもまた、「家で教えられない」という悩みを抱えていました。

そこで私は、子どもたちがもっと直感的に、そして自律的にプログラミングを学べる方法はないかと考え、約10年前にプログラミング学習用ロボット「クムクム」を開発しました。クムクムは、視覚的にプログラムを組み立てることができ、自分の書いたコードがすぐに物理的な動きとして現れるため、子どもたちは「なぜ動かないのか」「どうすれば動くのか」を肌で感じながら試行錯誤できます。単にコードを教えるのではなく、子どもたちが自ら問いを立て、解決策を探すプロセスを重視したのです。

クムクムを導入した教育現場や研修では、子どもたちがエラーを恐れずに何度も挑戦し、仲間と協力して問題を解決していく姿を目の当たりにしてきました。親御さんたちからも「子どもが家で積極的にプログラミングに取り組むようになった」「親子で一緒に考える時間が増えた」といった嬉しい声をいただくこともあります。私自身、このクムクムを通じて、子どもたちが単にプログラミングのスキルを身につけるだけでなく、論理的な思考力や問題解決能力を育んでくれることを願っています。親が全てを教えられなくても、子どもが自ら学び、成長できる環境をどう提供していくか。これが、私の技術経営者としての長年の経験から得た教訓です。

公教育のカリキュラムと最先端技術の「違和感」

現代社会は、ChatGPTのような生成AIの登場により、かつてないスピードで変化しています。一方で、公教育のカリキュラムや学校の設備は、その変化に追いつけていないという「違和感」を覚えることはないでしょうか。子どもたちが学校の古びたPCルームで基本的な操作を学んでいる間に、世界ではAIが新たな創造性を生み出し、仕事のあり方を根本から変えようとしています。

このギャップは、保護者世代と子ども世代の間に「デジタルギャップ」をさらに広げる原因にもなりかねません。私たち親世代は、子どもたちが将来、AIと共存し、時にはAIを使いこなす社会で生きていくことを理解しつつも、具体的な教育方法やサポートの仕方が分からず、不安を感じているのではないでしょうか。文科省の「中央教育審議会」でも、Society 5.0時代を見据えた教育改革の必要性が議論されていますが、そのスピード感には常に疑問符がつくのが正直なところです。

このままでは、子どもたちは「取り残されることへの恐怖」を感じ、将来への閉塞感を抱いてしまうかもしれません。単にプログラミングの文法を覚えるだけでは、AIが進化する未来を生き抜く力にはなりません。大切なのは、AIのようなツールを使いこなし、自ら問いを立て、創造的な問題解決を行う「人間ならではの力」を育むことだと私は考えています。

今の教育システムがこのスピードに対応しきれていない現状があるからこそ、家庭でのアプローチや、民間教育の役割がより重要になってくるのではないでしょうか。私たちは、子どもたちが未来の社会で活躍できるよう、柔軟な視点と行動力を持って、新しい教育の形を模索していく必要があると感じています。

プログラミング学習、家庭での選択肢を比較してみる

小学生のプログラミング学習は、家庭だけで完結させるのが難しいと感じる保護者の方も多いかもしれません。そこで、外部の力を借りる選択肢をいくつか比較検討してみてはいかがでしょうか。

選択肢 特徴 メリット デメリット 想定対象者
Scratchなどの無料オンラインツール ビジュアルプログラミング。Webブラウザで手軽に始められる。 費用がかからない。直感的で子どもがとっつきやすい。豊富な教材やコミュニティがある。 親のサポートや声かけが不可欠。体系的な学習計画は自分で立てる必要がある。 まずはプログラミングを体験させたい家庭。親が一緒に学べる時間がある家庭。
民間プログラミング教室 専門の講師が指導。カリキュラムが体系的で、仲間との学習機会がある。 専門家から直接指導を受けられる。子どもの学習意欲が維持しやすい。保護者の負担が少ない。 受講費用が高額になりがち。送迎の手間がかかる。教室によって質にばらつきがある。 費用にある程度余裕があり、専門的な指導を受けさせたい家庭。
オンラインプログラミング教材・動画 自宅で好きな時間に学習可能。動画やゲーム形式で飽きさせない工夫がある。 自分のペースで学習できる。教室に通う手間がない。比較的費用を抑えられるものもある。 モチベーションの維持が難しい場合がある。質問や疑問をすぐに解決できないことがある。 自律的に学習できる子ども。忙しい保護者。手軽に始めたい家庭。
プログラミング学習用ロボット(クムクム含む) 物理的なロボットを動かしながら学習。実際に動くことで達成感を味わえる。 視覚的・体験的な学び。論理的思考力が育ちやすい。ものづくりへの興味を刺激する。 初期費用が高額。故障のリスク。プログラミング言語そのものへの理解は深まりにくい場合も。 体験を通してプログラミングの面白さを知ってほしい家庭。手を動かすのが好きな子ども。

どの選択肢も一長一短がありますので、ご家庭の状況やお子さんの興味関心に合わせて、最適なものを選んでいくのが良いのではないでしょうか。大切なのは、子どもが「楽しい」と感じながら学べる環境を提供することだと感じています。

FAQ:小学生のプログラミング教育に関するよくある疑問

ここでは、小学生のプログラミング教育に関してよく聞かれる疑問にお答えします。

Q1: 親がプログラミングを学んだ方がいいですか?

親がプログラミングの専門知識を完璧に身につける必要はないと私は考えています。それよりも、子どもが何に困っているのか耳を傾け、一緒に考える姿勢を持つことが大切です。子どもが疑問を持ったときに、すぐに答えを教えるのではなく、「どうしてそうなるんだろうね?」「どこを調べたら分かるかな?」といった問いかけを通じて、自ら考える力を育む伴走者としての役割を担うのが良いのではないでしょうか。

Q2: 小学生にプログラミングを教える最適な方法は?

最適な方法は、子どもの興味関心に合わせて「遊び」の要素を取り入れることではないでしょうか。Scratchのようなビジュアルプログラミングツールや、クムクムのようなプログラミングロボットは、視覚的に分かりやすく、子どもが飽きずに取り組める工夫がされています。まずは、子どもが「楽しい」と感じることから始め、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要だと感じています。

Q3: プログラミング教室に通わせるべき?

プログラミング教室は、専門家から体系的な指導を受けられるという大きなメリットがあります。しかし、必ずしも通わせなければならないわけではありません。ご家庭でのサポート体制や、お子さんの性格、経済状況などを総合的に考慮して決めるのが良いでしょう。無料のオンライン教材や学習用ロボットなど、自宅で学べる選択肢も豊富にあるため、まずはそれらから試してみるのも一つの方法かもしれません。

Q4: プログラミング学習でつまずいた時の声かけは?

子どもがつまずいた時、「頑張れ」と安易に励ますだけでなく、「どこで困っているの?」「どうしたいと思っているの?」と具体的に聞いてあげることが大切です。そして、「じゃあ、こうしてみたらどうかな?」と一緒に解決策を考えたり、ヒントを与えたりすることで、子どもは「一人じゃない」と感じ、再び挑戦する意欲を取り戻せるのではないでしょうか。成功体験をたくさん褒めてあげることも忘れないでください。

Q5: 子供がYouTubeばかり見ていますが、どうすればいい?

YouTubeなどの「消費型デジタル」は、現代の子どもたちにとって身近な存在です。全てを禁止するのではなく、時間や内容のルールを決め、その中で「生産型デジタル」に触れる機会を作ってみてはいかがでしょうか。例えば、「YouTubeを見る時間の代わりに、今日はタイピング練習をしてみようか」「この動画の感想を簡単な文章にまとめてみようか」など、少しずつバランスを取ることを促してみるのが良いかもしれません。

未来への展望:親子で築くデジタル社会の羅針盤

プログラミング教育は、単なる技術スキルを身につけること以上の意味を持っていると私は考えています。それは、子どもたちが未来のデジタル社会を主体的に生き抜くための「羅針盤」を、親子で共に築いていくプロセスなのではないでしょうか。文部科学省が掲げる教育情報化の推進は、まさにこの羅針盤を子どもたちに与えようとしているのだと思います。

テクノロジーが急速に進化する現代において、私たち親世代が子どもたちの未来を完璧に予測し、全ての答えを与えることは不可能です。しかし、子どもたちが目の前の課題に対し、自ら考え、論理的に解決策を見つけ出し、そして新しいものを創造していく力を育むことはできます。この力が、将来どのような変化が訪れても、しなやかに対応できる土台となるのではないでしょうか。

家庭でのプログラミング学習を通じて、親が教えられない宿題に直面するかもしれません。しかし、それは親子で一緒に学び、成長できる貴重な機会でもあります。親が「分からない」と正直に伝え、子どもと一緒に「どうすればいいだろうね?」と考えることで、新たなコミュニケーションが生まれることもあるでしょう。これは、親が子どもの前で弱みを見せ、共に問題を乗り越える姿を見せることにもつながり、親子の絆をより一層深めるきっかけにもなり得ると感じています。

教育現場、家庭、そして私たちのような技術者育成に携わる企業がそれぞれの役割を理解し、連携を強化していくこと。これが、子どもたちが未来のデジタル社会で輝くために不可欠なことだと、私は強く願っています。

まとめ:親が教えられなくても、親子で共に成長するプログラミング教育へ

小学生のプログラミング必修化によって、多くの保護者の方が「親が教えられない宿題」という新たな課題に直面していることと思います。算数や漢字のように、親が完璧にサポートできないことに、不安や焦りを感じるのは当然のことかもしれません。

しかし、私が長年のエンジニアとしての経験や、200名以上の技術者育成、そして小学生へのプログラミング教育に携わってきた中で確信しているのは、親が全てを教える必要はないということです。大切なのは、子どもが「なぜ」を問い、自ら考え、試行錯誤するプロセスを、親が温かく「伴走」してあげることではないでしょうか。

家庭でのプログラミング学習は、時に親子間のコミュニケーションの断絶を招くリスクも孕んでいます。しかし、それは同時に、親子が一緒に新しい知識に触れ、共に課題を乗り越える貴重な機会にもなり得ます。インターネットを活用して一緒に調べたり、時には専門の教室やロボット教材(私たちが開発したクムクムもその一つです)といった外部の力を借りたりするのも賢明な選択肢です。

子どもたちがこれから生きていくデジタル社会は、私たち親世代が経験したことのない、変化の激しい世界です。そんな未来を力強く生き抜くために、プログラミング教育を通じて「論理的思考力」「問題解決能力」「創造性」といった、普遍的な力を育むことが何よりも重要だと感じています。親が全てを知らなくても大丈夫です。ぜひ、お子さんと一緒に、未来への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。その過程が、きっと親子の新たな絆を育むことにもつながることを願っています。

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